石橋の手帖

2022年1月19日(水)

    『27年という月日』

    阪神淡路大震災から27年。
    住宅屋として、決して忘れてはいけないこの日。
    当時、僕は学生。
    まさかその後に住宅業界に身を置いているとは思ってもおらず、
    TVのニュースを他人事のようにしていた気がする。
    多くの家屋が倒壊し、その下敷きとなり、多くの命が途絶えた。
    そんな報道にも、今一つピンと来ていなかった。
    なんせ、ボケーとした学生だったと思う。

    しかし、住宅業界に身を置くようになり、耐震化というテーマにぶつかった時に、
    この1.17の意味知った。

    家が人の命を絶つ凶器となる。

    そんなことがあっていいわけがなく、住宅屋としての責任の重さを痛感。

    新築の住宅は、災害などが起こるたびに耐震化への法改正が進んできた。
    しかし、建築基準法という法律は、あくまでも「最低限のレベルを言う」と心得ているつもり。
    本当は、住宅の耐震化をもっと図るべきであり、啓蒙するべきである。

    今現在、新築で家を建てる際に、建築確認において構造関係の審査を省略することが出来る「4号特例」なる制度がある。
    極端に言えば、
    「木造2階建てならば、構造計算はしなくてOK。ただし、壁量ぐらいは自分でチェックね。」
    といったこと。
    これでは、耐震化の強化出来ないコトは明白であり、
    随分前からこの「4号特例」には廃止を含めた大きな議論を呼んでいるが、大きな進展はない。
    昨年末に少し進展したようですが、まだまだ先は長いです。

    一方で、築年数の古い住宅の耐震化は大きな社会課題。
    遅々として進まない。
    リフォームやリノベーションをする際に、耐震化は重要なファクターであるが、コストがかかり、後回しになる傾向にある。
    特に、基礎の耐震化をする会社は少ない。
    うちのリノベスタッフには、「絶対に基礎の耐震化は提案すること!」と言っている。
    建物の上物だけを耐震化しても、基礎が耐震化されていなければ、僕にとっては片手落ち。
    足元と上物が揃ってこその耐震化であると思う。
    がしかし、まだまだ研究が必要。

    いずれにしても、地道に一つ一つ丁寧に耐震化を進めて行く。

    自分の家で家族の命を失わせない。

    阪神淡路大震災の発生のこの日に、改めて自分自身の住宅屋としての使命を問いただしたい。

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