石橋の手帖

2021年6月14日(月)

    『杉柾目の建具』

    これは何でしょうか?
     
     
    先日、現場監督が指物師(建具屋)さんで撮影してきた建具の部材の写真。
     
    僕の自慢の建具です。
    木目・色目が本当に美しいです。
     
    材料は、埼玉県飯能の西川材。
    古くは、江戸の建物の為に手入れをされていた木材の一大産地。
    西川材は、枝打ちの技術が、吉野から伝わったと聞いています。
    そのため、現在も枝打ちが行われ、節の無い木目の美しい木材の産地でもあります。
    この西川材は、会長自らが飯能の山に入り、立木を見て、買い付けを行い、岐阜に届けられます。会長の目利きにより選ばれた木材です。
    この辺りが、元材木屋で、社寺建築用材を専門とした鷲見製材らしいアイデンティティです。
     
    杉なんて、どこの産地も一緒でしょ?
    という声が聞こえそうです。
    違います。
    残念ながら、岐阜の杉材や九州の杉材では、この木目・色は出ません。
    それぞれの地域の特色が木材には出るんですよ。
     
    この建具。会長と僕のこだわりと想いのこもった建具です。
     
    僕が営業時代は、この建具だけで2時間は話したかもしれません(笑)。
     
    併せて、この木材を扱う指物師(建具屋)も大事。
    技術もさることながら、センスが重要です。
    色づかいや木目、ライン。。。
    このバランスが良い建具になるかどうかの境目。
    特に杉材は、木目や色目がハッキリしていることもあり、少し大袈裟ですが、アーティスト的なセンスが必要。
    その中で、若い指物師がいますが、彼もこの10年で磨かれ、センスが良くなりました。
    何度も苦言を呈しましたが(笑)。
     
    僕は、杉の柾目の建具が本当に好き。
    板目の建具は存在感が際立ち、自己主張をします。
    しかし、柾目の建具は、しっとりとした存在感で、あまり自己主張をしません。
    そこに古くからあったかのような。そんな存在感が大好きです。
    また、木材を長い間、管理してきた人々や製材をする人々、指物師。。。たくさんの人の想いとロマンが詰まっている建具です。
     
     
     
     
    ↑左のような切り方をすると「板目」になり、真ん中・右が「柾目」
     
     
    実のところ、家の風景の中で建具は大きな面積をしめます。
    しかし、写真撮影をする際は、基本的には建具は開けた状態での撮影がほとんどで、建具が脚光を浴びることはあまり多くありません。
     
    実際は、建具は主役級なのに、撮影では邪魔者扱いで脇役に追いやられます。
     
    しかし、家の質感やしっとり感を演出するには、建具がとても大事です。
     
    だからこそ、僕はこの西川材の多くの職人たちの想いのこまった建具にこだわりたい。
     
    キレイに並べられた建具の部材の写真を見ていると、50年も60年も大切に育てられ、いよいよ独り立ちする我が子のようです。
     
    ちょっと興奮し過ぎました・・・(笑)。

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