『アスリートの魂』
- 社長ブログ
高梨沙羅。
彼女は間違いなく世界トップレベルの女子ジャンパー。
しかし、競技以外のところで、色々と目立つ存在。
僕は、そんな彼女を今回のオリンピックで最も応援をしていた一人である。
昨晩は、そんな彼女にとって、北京オリンピック最後の競技。
前のノーマルヒルでの競技は不完全燃焼に終わり、競技後に引退もにおわせていた。
混合団体という初めての競技。
男女4名がジャンプ台に立つ。
先頭の高梨は103mの大ジャンプ。
この瞬間に彼女の精神力の高さを感じた。
でかした!とテンションMAXへ。
がしかし、規定違反とのことでの失格。
団体での失格は、なんとスコアーはゼロとなる。。。
これはチームとしては致命的。
予選通過も危ぶまれる。というよりも、絶望的とすら思える。
当然に、高梨は失意のどん底へ。
TVの実況からでは、その詳細は今一つわからない。
が、これまでの彼女の言動を見聞きしていると、
そのショックは並大抵のことで無いことは、素人でもわかる。
見ている僕ですら、意気消沈の度合いは深かった。
その後、3人のジャンパーが踏ん張り、なんと!予選を通過。
記録上は、高梨を除く3人での合計点。
素晴らしい。
しかし、複雑な心境。
メダル争いはまず無理というショックなのか、高梨への心配なのか、よくわからない。
いずれにしても、予選通過を喜びはするものの、どう表現していいか分からない感情が支配する。
しばらくして、2回目のジャンプが始まった。
高梨は飛ぶのだろうか?
TVの画面にチラッとその姿を見た時に、飛ぶんだな。と、なぜか、僕まで覚悟を決める。
高梨の2回目のジャンプ。
ゴーグル越しの目は、心なしか力強さに欠けていたように思う。
泣きはらした後であろう、目も腫れている。
コーチがGOのサインを出す。
高梨はスタートした。
僕自身は、最悪の事を想像していた。
中途半端なジャンプになり、70m台くらいの飛距離になるのではないか?
いやいや、結果、98.5mの大ジャンプと言っていい出来だった。
立派だ。僕自身にもこみ上げてくるものがある。
その後の高梨の様子はご存じの通り、最後に深々と頭を下げる姿は、
謝罪会見のようであった。謝る必要なんてないのに、関わった人々や見ている人々への謝罪であったんだろう。
国を背負うって大変なことです。
僕は、アスリートの魂って凄いと思う。
この姿に、僕たちは感動し、感情移入をする。
もしも僕が同じ立場だったら、2回目を飛ぶことが出来たのだろうか?
冷静さを取り戻すことが出来たらだろうか?
まったくもって自信がない。
僕はそんなに強くない。逃げ出したくなると思う。
自暴自棄になるかも知れない。
なぜ彼女は飛ぶことが出来たのだろ?
しかも、98.5mも。
意地なのか、プライドなのか。
あるいは責任なのか。
なんなのかは、僕にはわかるはずはない。
ただ一つ言えることは、その姿に感動し、心を動かされたという事。
ありがとう。
我々ビジネスマンも、アスリートである。
というのは、僕の信条。
彼女の行動から学ぶことが多かった。
その後のこの試合、なんと、3位まであと少しまで追い上げた。
結果的に、距離にしてあと約4m。
4人の一人一人が、あと1m飛んでいたら、銅メダルも夢ではなかった。
しかし、これでよかったとも思っている。
なぜならば、4人全員が、自分のベストを尽くした結果だから。
チームとして、各自が自分の役割を果たすことが大きな成果につながる。
最後の小林の106mの大ジャンプ、その後のガッツポーズ。
ノーマルヒルの金メダルよりも嬉しそうだった。
金・銀・銅ではない、大きなモノを得たんだろう。
順位を争わなければ面白くない。
が、
順位だけを争っていても面白くない。
というモノの、高梨の1回目のジャンプのスコアーを足すと、銀メダル相当。
そこを確認し、「ほらみー--!!」と、心の落ち着きどころを定めている自分がいる。
見ている僕は、やっぱりまだまだ甘ちゃんだった(笑)。