石橋の手帖

2022年4月8日(金)

    『木の物語』

    昨日は、新卒採用の一環で学生さんを
    郡上の森へお連れした。
    新卒採用を始めて10年以上の間、
    学生を必ず森に連れていく。
    極論ではあるが、この森で、
    森を守るという理念や使命に共感や共鳴、
    熱いモノがこみ上げてこなければ、入社は出来ない。
    我々にとって最も大事な想いであり、
    住宅をつくる意味や意義だから。
    仮に、共感できずに入社すれば、長く続かないだろう。
    それは、お互いにデメリットしかない。
     
    この郡上ツアーは、まず森に入る。
    そこでは、手入れをされている森と、
    放置されている森を見る。
    見ればわかる。
    明らかに違いがある。
    手入れをされていない森が多いことに、
    怒りや憤りを覚えてもらう。
    少なくても、我々は怒っている(笑)
    なんで、日本の森の木を使わないのか?
    なんで、岐阜の森の木を使わないのか?
     
    その後、森の中で、森の教授である鷲見隆夫会長より、
    森の置かれている現状や
    これまでの林業の歴史などを解説して、森を下りる。
    森では、目を閉じて「音」を聞く。
    風を感じ、葉の音がする。
    川のせせらぎが聞こえる。
    このせせらぎは、やがて長良川にたどりつき、
    太平洋に行きつく。
    鳥の声も聞こえる。
    季節によって、その声の種類や強さが違う。
    全身で森を感じる瞬間。
     
    その森がピンチを迎えている。
    今に始まったコトではなく、
    随分前から迎えているピンチ。
    よく聞くと、
    森の泣き声や叫びが聞こえるかも知れない。
     
    森を守るために、
    ひだまりほーむは岐阜県の木材を使う。
    外国の木材は一切使わない。
    そう誓ったのは20年ほど前。
    現時点においても、
    うちの現場には、岐阜県や国内の木材しかない。
    1本たりとも外国の木材はない。
    この20年間、意地とプライドをかけた、
    森を守るための国産材利用。
    当時は、杉を使うことに、多くの職人は抵抗感があった。
    そこを説得し、想いを伝えて今がある。
     
    そんなことを知ってこそ、「ひだまり人」となる。
     
    実は、昨日の森のツアーには、
    新卒採用の選考中の学生さんだけではなく、
    2名の中途採用の社員が運転手として参加している。
    中途採用の社員であっても、
    森に触れ、理念に触れてもらう。
    カタログや文字では分からない「現実」が、現場にはある。
    森に入ってこそ、理解できることがある。
    百聞は一見に如かず。
     
    昨日は天気も良く、最高に気持ち良い一日でした。
     
    午後からは、製材工場を見学し、
    丸太が柱や梁になる様子を案内し、
    森から材料までを駆け足で回ります。
    心地よい疲れでした。

    その他の記事

    石橋の手帖一覧

    • Facebook
    • Instagram
    • Pinterest
    • Youtube